ケースメソッド: デジタライゼーション – 管理会計のためのシステムリプレイス –

ケースメソッドとは..
事例をもとに参加者が当該案件を疑似体験することによって、支援スキルの向上を目指していただく “実践型” の勉強会です。

【デジタライゼーション】のテーマでは、企業のIT活用による業務プロセス改革や生産性向上、マーケティングなどの支援など、実際の事例をもとにディスカッションを行います。

本セミナーレポートではケースメソッドの様子を抜粋しご紹介いたします。

2023年 5 月 19 日 (金) 16:30 ~ 17:15 開催
ケースメソッド (デジタライゼーション)
テーマ:管理会計のためのシステムリプレイス

今回は、バックオフィスの業務改善・クラウド化の支援を行う株式会社 ナレッジラボ様より、レガシーシステムと経理のブラックボックス化によって管理会計の導入が進まない企業の事例をご提供いただきました。

テーマは 「管理会計のためのシステムリプレイス」 ということで、スクラッチの基幹システムが導入されていて、なかなか踏み込んだシステム化提案ができない企業への支援内容についてお話を伺っていきました。

この事例企業は前任者である創業者が退任し、現社長が就任した経緯があります。新社長は経営計画の見直しを希望していましたが、根拠ある予算の設定が困難だったようです。
そこで、この企業を顧問先に持つ会計事務所のコンサルタントとして、どのようなアプローチを実施していくのか考えていきました。

この企業ではベテラン経理担当者にしか行えない業務が多くあり、会社の数字や意思決定に重要な情報がその経理担当者が保持している “秘伝のエクセル” に集約されていたようです。このようなケースは、ほかの企業においても非常に多く見受けられることでしょう。

まず、ベテラン経理の方が抱える業務の分散や管理会計への注力方法について検討しました。そのためには、秘伝となっているエクセルの内容把握から業務の棚卸が必要だろうとの意見も出されました。
実際の対応でも、数多くの秘伝エクセルが存在し、現地でのヒアリングを通じて時間をかけた対応が行われたとのことでした。

つづいて、スクラッチのシステム採用により、インボイス対応の請求書発行には1,000万円以上の高額な改修費用が必要となることが想定されている点についても検討していきました。

実際の対応では、当初すべてスクラッチの基幹システムから入れ替えることも希望されていましたが、結果的には一部を残し、案件管理・納品/請求書の発行については kintone にのせ換えて対応をされたそうです。これによって、ベテラン経理の方の業務を別の経理担当者へ移管することにも成功したとのことでした。

今回 kintone を選定した理由として、複雑な秘伝エクセルがいくつも存在していて、エクセルから代替しやすい点が挙げられました。また、従来の基幹システムで行っていたCSVデータの加工およびメール添付、ほかのシステムとの連携や拡散性なども考慮されたようです。

この事例は、2023年10月に行われるインボイスの対応に向けて、現在進行中の対応も含めておよそ8か月の期間を設けて進めているとのことでした。

このほかに根拠ある予算の設定に関しては、今回お話しいただいたナレッジラボのManageboardを活用した予算・キャッシュフローの管理や、MoneyForwardのクラウド会計をAPI連動することで会計実績から進捗管理が行えるように対応されたとのお話がありました。

このようなシステム導入・入れ替えにおいては会計事務所単独ではなく、会計案件に対応できるベンダーとパートナーシップを組むことで、顧問先にとって安心かつ効果的な支援を提供できることになりそうです。

次回ケースメソッドは、2023年7月開催を予定しています。ぜひみなさまのご参加お待ちしております。