第7回 座談会レポート ~ 季節業務振り返り – めざした改善とその効果 – ~

座談会は会員の皆さま同士の情報交換によって、DX推進の理解を深めていくことを目的としたコンテンツです。

このレポートでは座談会の様子を抜粋しご紹介いたします。


2023 年 4 月 21 日 (金) 16:30 ~ 18:00 開催
テーマ:季節業務振り返り – めざした改善とその効果 –


第7回は、これまでの座談会から少し趣向を変え、メインパネリストの税理士法人 中山会計さまの事例共有をベースとした内容で進行いたしました。テーマである “季節業務” における進捗管理やシステム改善、推進チームによるモチベーションアップ企画や目標設定など、毎年ブラッシュアップを実践されていることから、今回はそれら取り組みについてめいっぱいお話を伺ってまいりました。

また今回は、中山会計と協業されている株式会社 北陸電算さまもご同席いただきました。ゲストには会員事務所から、日本みらい 税理士法人さま・税理士法人 YFPクレアさまと、視聴のみでの参加者も含め12名の皆さまと進行いたしました。

◆外部システム企業との提携

株式会社 北陸電算は、Webアプリケーションやソフトウェアなどのシステム開発や導入支援を手がけています。情報処理の資格を取得されている方も在籍されていることから、大学での講師も担われているそうです。また、中山会計の代表も同じ大学で講師をしており、そこで意気投合し、業務パートナーとして協力関係を組まれたそうです。

◆社内の推進チーム “委員会” の活動とは.. ?

中山会計の特徴的な取り組みとして、所属部課とは別に各種委員会が立ち上げられています。全従業員はいずれかの委員へ一年単位で所属し、それぞれ成果を上げる活動をしています。

季節業務の改善やDXへとつなげる委員会『申告DX委員会』では、単なるデジタル化だけでなく、お客さまも巻き込みながらDXの在り方や手法を推進しているそうです。

◆中山会計の季節業務の取り組み ~ 年末調整編 ~

業務内の取り組みとして、RPA導入や申告書の電子処理について解説していただきました。

RPAは3年ほど前に個人の確定申告の申告書出力から始められていたそうですが、今年は、年末調整での源泉徴収票、法定調書や合計票など各申告書を一気に出力することにチャレンジされたようです。従来の手作業での作業工程を見直し、RPAへ代替できる工程の策定や出力依頼の方法を工夫し運用していったそうです。

これにより手作業に比べ工数は大幅に削減でき、自動化されたことで、格納場所やファイル名もきれいに統一されるといった効果を得られたようです。エラー発生時の対応には時間を要してしまったとのことですが、さっそく今後の課題として改善に向けて動かれているとのことでした。

申告書の納品・承認については、紙メインで実施の際には、お客さまへ合意をいただくために中山会計ではすべて判子をきちんと押していただいていたそうです。しかし今回の電子処理の取り組みにより、納品物をPDF化しクラウド共有フォルダ上だけで承認まで済ませられようになったことなどお話しいただきました。

これらの取り組みは、実際に方法を変更するためお客さまにも協力を得ながら進める必要がありました。それについて、お客さまにとって納品された紙資料の保管場所を気にしなくていい点で喜んでいただけたことや業務の上でも印刷からお届けまでの省力化にも繋がったということです。

◆中山会計と北陸電算とのRPA活用における協力体制

北陸電算からは二名が週に二日間、中山会計へ出社されています。中山会計の代表の意向もあり、朝の清掃など所内の通常業務から職員一体となって参加されることで依頼のしやすさや親睦が深められている様子も伺いました。

RPAをつくるにあたっては、業務フローを作成するところから着手したとのことでした。
さらには、実際に稼働・運用していくためには、実務担当者によって直接メンテナンスする必要があったとのことでした。そこで、RPAのアクションを翻訳するためのエクセルも同時に作成されたそうです。

◆RPAのシナリオ設計の罠..

参加事務所からは、画面を認識して動くシナリオ設計をしていたら、RPAで利用しているソフトの画面が一新されてしまい、稼働時期にメンテナンスが間に合わず、今年はRPAを稼働できなかったとのお話がありました。また、RPAの知識を持つ職員が導入を推進したものの、退職を機に他の職員ではメンテナンスが行えず、使用できなくなる問題も起こりがちであることが挙げられました。

この点で中山会計の翻訳用のエクセルは、実務担当者が難易度の高くない箇所であればそれを参考にメンテナンスができることに役立てられているようです。緊急対応が必要な場合は、北陸電算の方が在籍している日に対応されることになっているようです。

◆中山会計の季節業務の取り組み ~ 確定申告・業務管理編 ~

紙の受付票を使っていた新規お客さまの見積承認などを完全にオンライン化し、全案件を一覧で管理できるようにされたそうです。これにより、誰のもとで承認が滞っているのか聞いて回る必要がなくなったこと、受注合計金額の最新状況も常に把握できるようになったとお話しいただきました。

とくに事務所のある石川県では降雪のシーズンと繁忙が重なるため、全社的に出社が難しいこともあるなか、在宅対応が可能となり業務が滞ることなくスムーズに進められたようです。

償却資産の業務についてもご説明があり、処理内容が簡易で手作業でも十分可能であったため、電子申告への切り替えが進みづらかったとのことです。そのため、楽しく取り組むために 「チーム対抗レース形式」 で実施されたようです。

つづく質疑応答やフリートークも大変盛況で、中山会計と北陸電算の連携による各種ツールの制作期間や資料回収には苦戦があったこと、そしてRPAのバックアップ保管などについても話を聞くことができました。

研究会では、今後もさまざまな事務所の取り組みや課題のヒントとなるテーマで勉強会の企画をしてまいります。体験会員も随時募集しておりますので、ぜひご参加ください!