会計事務所の導入システムの変遷を振り返る ~業務管理ツール編~(私の変遷編)

セブンセンスグループがこれまで導入・活用してきたシステムの変遷を振り返る連載シリーズ『会計事務所の導入システムの変遷を振り返る』。

これまでのコラムでは、業務管理の土台を築いてきた社員にインタビューを行いご紹介してきましたが、今回はインタビューを行ってきた私自身の歩みをお届けしたいと思います。

私は、会計もシステムもまったくの未経験のまま、2020年にセブンセンスグループへ入社。それでも、気づけばkintoneを使って業務管理ツールをつくり、説明し、伝える側の人間になっていました。今回はそんな私の目線から、「未経験の私が、どうやって現場に寄り添う仕組みづくりに関わるようになったのか」 をご紹介します。

事務局員 T の変遷

2020年2月 入社と業務管理との出会い

2020年2月、私はセブンセンスグループに入社しました。
当時の私は、会計業務もシステムもまったくの未経験で、「業務管理」 やそれらをまとめる 「業務管理ツール」 という言葉もよく知らない状態でした。

ただ、入社の時点でひとつ決まっていたことがあります。
それは、将来的にシステム部門へ異動することを前提に、まずは会計部門で現場を経験するということです。
『会計業務の流れを理解したうえで、実務に即した業務管理ツールをつくれる人材がほしい』
そう言われていたことを覚えています。

入社後は、月次業務や法人決算、年末調整、確定申告、納期の特例など、ひと通りの会計業務を経験しました。
その一方で、前回のインタビューでご紹介した島口さんの指導のもと、kintoneを使ったアプリ作成にも取り組むようになりました。

私はこれまでパソコンを使う仕事に就いていたわけではなく、ITに関する専門的な知識もありませんでしたが、もともとガジェットやツールに対する興味はあったことから抵抗感はなく、少しずつ操作にも慣れていきました。

最初は、自分の身の周りの業務で必要だと感じたものを、自由にアプリ化していくような形でした。たとえば、それまで手帳にメモを残していた内容を、kintone上で管理できるようにした 「ノートアプリ」 や、業務タスクをテーブルでリスト化した 「タスクアプリ」 といったような、シンプルな内容のものが中心でした。
それでも、現場の業務と向き合いながら改善点を考えていくうちに、「業務管理」 の重要性を実感するようになっていったのです。

2020年夏 スキャンメモの開発と現場改善

入社から半年ほど経った2020年の夏、私にとって初めての本格的なアプリの作成が始まりました。
きっかけは、静岡オフィスのすぐ近くに 「静岡オフィス別館」 が新設され、これまで私が勤務していた静岡桃園オフィスからの移転が決定。それに伴い、資料管理の業務を静岡オフィスと静岡オフィス別館とで跨いで行うこととなり、オフィス間において現物資料の移動が発生するようになりました。

このときに作成したのが、kintoneアプリ 「スキャンメモ」 でした。
資料の入庫、スキャン、状態の記録、オフィス間の移動、顧客への返却といった一連の工程をリアルタイムで管理できるようにしたアプリで、
「誰がいつ資料を持ち出したのか」 「資料は何枚あったか」 「いつまでに返却すればよいか」 といった複合的な情報も、管理できるように少しずつ機能を拡張していきました。

この時期にはまだ、会計業務と並行しながらアプリ作成の対応をしていたので、日々の業務に追われることも多かったように思います。
さらに、資料管理の業務自体もまだ立ち上げ途中の段階で、状況を整理しながらの進行だったため、思うように進まないような場面も多くありました。

いま思えば、走り出しの段階だったからこそ、自由にアプリを設計することもでき、現場でのやり取りをすぐに反映できたのは大きな経験でした。
実際に資料を扱う現場の声を聞きながら、そのニーズをアプリの仕様へ落とし込んでいく。その繰り返しを通じて、業務管理アプリの面白さと、現場と連携することの大切さを実感していきました。

この 「スキャンメモ」 の作成をきっかけに、その後は季節業務の管理表など、他のアプリ作成にも少しずつ関わるようになっていきます。

2022年 業務改善と外部支援への広がり

2022年8月、私は部署を異動し、kintone業務へ本格的に集中することとなりました。
これにより、グループ内でのアプリ開発だけでなく、外部からの受託案件にも携わるようになります。
同業である会計事務所さまからのご依頼をいただくことが多く、これまでの所内での経験を通じて業務の背景や課題を理解していたことが、ヒアリングや提案の際に大きな力となりました。
また、そうした社内の現場で培った視点を持ちながら、顧客の課題解決に取り組む毎日は、社外への視野を広げる機会にもなりました。

そしてこの頃、グループ内でもkintoneの活用がより一層進み、ノーコードツール 「gusuku Customine (グスク カスタマイン)」 の導入によって、アプリの拡張性も格段に広がりました。特に大きな変化が起きたのが、季節業務管理表です。
業務に関連する情報が、kintone上へ集約され、入力内容に応じて自動で顧客に提供するPDFを生成する仕組みを作ることができたり、これまで以上に正確な業務分析を行える環境を整えることができました。さらには、RPAとの連携により、一部の処理は自動でステータスも更新されるようになりました。

こうした取り組みを通じて、私自身の業務も、記録や集計といった 「見える化」 だけにとどまらず、
「改善サイクルを支える仕組みづくり」 へと発展していったように感じています。
この積み重ねがあって、会計業務とシステムの両方に関わってきた自分だからこそ担える役割なのではないか、と感じるようになりました。

2024年以降 発信という新たな役割へ

現在、私はデジタルマーケティング部へ異動し、新たな業務に携わることになりました。
これまでのようなアプリを開発・運用する立場からは一歩離れ、グループ内の商品やサービスを “外に向けて発信する” という役割を担っています。

一見すると、まったく異なる分野への転換のようにも思えますが、実際にはこれまでの経験が随所で活きています。
入社以来、会計業務の現場 (利用者側) とシステム開発 (構築側) の両方に携わってきたからこそ、「現場で本当に求められていることは何か」 「どんなサポートが必要とされているのか」 といった視点を持ちながら、伝えるべき内容を具体的にイメージすることができている実感があります。

振り返ってみると、会計とシステムという二つの領域を行き来してきたからこそ、双方の立場に寄り添う感覚が自然と身についていたのかもしれません。
たとえ商品開発に直接関わっていなくても、利用者が知りたいことと、開発側が伝えたいことを想像しながら、その間をつなぐ表現を選ぶ.. 。
まだまだ新しく学ぶことも多く、試行錯誤の連続ではありますが、これまでの経験を土台にしているからこそ担える役割があると感じています。

今回のまとめ

会計もシステムも未経験の状態で入社した私が、業務を通じて少しずつ知識と経験を積み重ね、やがてkintoneを駆使して現場の仕組みづくりを支える立場へと歩んできたこの数年間。
あらためて振り返ってみると、業務改善や業務管理の本質は 「目の前の課題に向き合い、それをどうすれば前よりも良くできるか」 を考え続けることだったように思います。

そして今、私はその 「仕組み」 を、必要としている人たちに “どう伝えるか” という新たなテーマと向き合っています。
業務の現場と、システムの視点。その両方を経験してきたからこそ、見えてきたことがあります。
それは、伝える内容をつくるだけでなく、相手の立場に立ち伝え方を考えることの大切さです。

これからも、目の前の業務に丁寧に取り組みながら、会計業務・システム開発・そして情報発信、それぞれの経験をつなげて、
“仕組みを支える人” として、自分にできることをひとつずつ丁寧に積み重ねていきたいです。