第8回 座談会レポート ~ 次世代の資料回収 Vol. 2 – ITツール、こんな活用しています – ~

座談会は会員の皆さま同士の情報交換によって、DX推進の理解を深めていくことを目的としたコンテンツです。

このレポートでは座談会の様子を抜粋しご紹介いたします。


2023 年 6 月 23 日 (金) 16:30 ~ 18:00 開催
テーマ:次世代の資料回収 Vol. 2 – ITツール、こんな活用しています –


第8回は、昨年11月に開催したテーマ『次世代の資料回収』の第2弾!古田土会計グループから 「経理のゼロオペレーション化を目指す」 という理念のもと設立された株式会社 ゼロオペより取締役の川森 成輝かわもり なるきさまにメインパネリストを務めていただきお話を伺ってまいりました。

ゲストには会員事務所からは税理士法人 ティグレパートナーズさまと、視聴のみでの参加者も含め22名の皆さまと進行いたしました。

◆業務改善のニーズは増加傾向

冒頭では、メインパネリストの川森さんの日常業務について伺うところから会はスタートしました。業務フローの再設計や自計化、クラウド会計の導入支援といった顧問先からの業務改善に関する相談は日々増加傾向にあるようです。一方、自社内でも従業員増員の局面にあり、業務効率化の対応も喫緊の課題であり多忙を極めているとのことでした。

顧問先の業務改善において効率化を図るより以前に、経理担当者の退職でバックオフィス業務の対応にお困りだというケースも多く、このようなお客さまへ向けてはアウトソーシングサービスも少しずつ始められていることを伺いました。

◆組織的に活用しているツールや利用のきっかけとは.. ?

ツールを活用した業務を組織全体に広める取り組みは、およそ7年前に始まったようです。きっかけとして、便利なツールやクラウドシステムなどが世に登場し始めたタイミングだったこともその一つだろう、という見解を伺いました。

現在、新規で契約した顧問先の資料状態や回収に関する情報の管理は 「kintone」 を使用されています。また、顧問先とのコミュニケーションにはメールではなく 「Chatwork」 を活用されているようです。

チャットの活用には、リアルタイムでやり取りできるスピード感があり、資料回収が滞る場合にも気軽にやり取りできるのもよい点であるとお話しくださいました。

いくつもあるチャットツールから、Chatworkを採用したポイントを伺いました。ここに行きつくまでにはいくつかのツールを使用して吟味をされたそうですが、社内のPCでしか開けないように設定できるセキュリティ面や、資料添付のスムーズさなどが決め手だったようです。

◆ファイルストレージの統一

古田土会計グループでは、弥生会計をメインの会計ソフトとして使用し、ファイルの共有と回収にはFRONTIER21が利用されています。このFRONTIER21は、株式会社 オリコンタービレが販売しており、「弥生認定連動商品」 ともなっています。

FRONTIER21は、弥生会計を導入されている顧問先と同じデータを閲覧でき、会計ソフトとしてはオンプレミス型でありながらクラウド会計のようにデータを共有し修正の反映も可能だそうです。これらの背景によって利便性も高いことから利用されているのだと伺いました。

今回の座談会申込時の事前アンケートによると、資料回収にはGoogle ドライブ/Dropbox/MyKomon を利用されているとの回答がほとんどで、どちらの事務所でもいくつか併用しているケースが多い印象でした。

ゲスト参加の税理士法人 ティグレパートナーズさまでも、FRONTIER21を利用されているようですが、お客さまとのやり取り用ではなく、自社の拠点間の資料共有用として導入されているそうです。またお客さまとの資料共有は、各現場や対応する職員ごとで管理方法や使用ツールも異なる状況とのことでした。

◆ITツール導入の定着のため実践されていることとは?

「経理改善推進課」 というチームを結成し、資料回収や入力作業の効率化など、自社内の業務改善や顧問先への提案を進めていらっしゃいます。このチームでは、”この勉強会に参加していないと、このツールは使えません” というルールを設けた勉強会も開催しているようです。新たに共通して利用するツールや、使用ルールに関する勉強会は定期的に開催され、浸透と利用者のリテラシー向上に努められています。

「どれだけマニュアルを提示しても動画を見てと言っても、結局のところ見られず、浸透しないというのが正直なところです」 とも。人を集めたリアル開催の研修や、一対一の場で丁寧に伝えていくことも効果的であるとお話しくださいました。

◆値引き交渉!?電子回収による効率化で会計事務所はラクになっている?

会計事務所側は資料の電子回収によって顧問先に出向く必要がなくなります。このため、郵送費や移動費などのコストを削減でき、顧問先から値引き交渉されるかもしれないと考える事務所もあるでしょう。

これには古田土会計グループにおいては、インボイス制度への対応によって発生する消費税集計や登録番号のチェックなど、事務処理負担が増加していることを顧問先へ説明したうえで、「従来どおりの紙回収は報酬アップ」、「データ回収に協力いただければ報酬維持」 として案内を出されご理解をいただいたそうです。

また、お客さまへ口頭で案内をする際の、アプローチ方法や伝え方、感覚は各担当者の温度感で異なってしまうのでは?という点でもお伺いしました。会計事務所としてどれだけの対応が発生するか?お客さまに何をご協力いただくこととなるのか?といった点は、日々の勉強会や周知徹底によって浸透しており、案内文をみれば各自にイメージの土台はできているだろうということでした。

このあとも、資料の電子回収と入力方法を整備されたことで得られた効果を伺ったりと、大変盛況な会となりました。

研究会では、今後もさまざまな事務所の取り組みや課題のヒントとなるテーマで勉強会の企画をしてまいります。体験会員も随時募集しておりますので、ぜひご参加ください!