顧問先DX支援分科会・デジタライゼーション支援スタートプロジェクト ビジネスピッチレビューセッション

中小企業DX推進研究会/顧問先DX支援分科会で進めている「デジタライゼーション支援スタートプロジェクト」の成果発表会が、8月21日にオンラインで開催されました。

「デジタライゼーション支援スタートプロジェクト」は、クライアント向けのデジタル化支援サービスを事業化することを目的としています。昨年11月のキックオフミーティングからスタートし、10か月間でサービス提供までを行うプロジェクトです。

今回はその最終成果を、ビジネスピッチ形式の短時間プレゼンテーションで発表し、それに対してレビュアーがコメントする形式で進行しました。当日は、参加メンバーの3つの事務所からリリースされたサービスについて発表が行われ、以下の3名のレビュアーがレビューを行いました。

レビュアー

  • 株式会社ファーストアソシエイツ 竹田 清香 氏
  • 株式会社マネーフォワード 森田 隆 氏
  • 中小企業DX推進研究会 山口 高志 氏

発表されたサービスは以下のとおりです。

サービス①:顧問先デジタル化支援

このサービスを企画した事務所では、社内とクライアントのITスキルに合わせてプロジェクトを進めた結果、特定のツールに特化した支援ではなく、クライアントのニーズに合わせて幅広くデジタル化を支援する方針を採用したといいます。

具体的には、協力企業とのマッチング支援を中心に実施しており、外部企業と連携して顧問先のニーズに最適なツールやソフトウェアを提案する形を取っています。このため、さまざまな企業とアライアンスを結び、顧問先に対して多様なIT関連の相談に応じる体制を整えています。たとえば、POSレジや労務管理システムなど、顧問先の要望に合わせて最適なソリューションを提供するため、外部企業と協力してサポートを行っています。

マッチング以外にも、顧問先が利用している紙媒体をエクセルやクラウドベースのシステムに移行するサポートも提供しています。

このサービスに対してレビュアーからは、サポートするツールやソフトウェアの範囲が広すぎることや、マネタイズに関する懸念が指摘されました。一方で、対象業務を絞ったり、既存サービスとのポートフォリオを考慮することで、これらの課題を解決できるのではないかという意見もありました。

サービス②:カオスマップ作成サービス

このサービスを企画した事務所では、中小企業がDXを進めるうえで特に大きな障壁となるのが、ITに関する予算と人材不足であるとの考えから、これらの問題を解決するためのサービスをリリースしました。

まず予算については、中小企業がITを運用する際に、運用コストを正確に把握できていないため、過剰な料金を支払ったり、必要のないサービスに予算を費やしてしまうことが多いという現状に注目しました。そこで、この事務所では運用コストを見える化し、無駄なコストを削減して、浮いた資金をDX推進のための予算に回すというサービスを企画しました。実際にこのサービスを、過剰なファイルサーバーが提案されていた企業に対して提供し、クラウドストレージに切り替えることで、約470万円のコスト削減を実現したケースが紹介されました。

次に、IT人材不足については、多くの中小企業がどこから手をつけていいかわからないという状況を踏まえ、まず社内のITツールをカオスマップで全て見える化し、その情報を共有するサービスを企画しました。このサービスでは、複数のツールを運用していて管理が大変なクライアントに対し、Google Workspaceを活用することで年間約70%のコスト削減に成功した実例が挙げられ、その効果が示されました。

このサービスについては、レビュアーからも全体的に高い評価を受け、期待される意見が多く寄せられました。また、カオスマップを使うことで、自社の弱点を見つけるのにも役立つのではないかという声もありました。

サービス③:DX型経理支援サービス

こちらのサービスは、経理業務の効率化とデジタル化を目指した包括的なサービスとなっています。具体的には、経理業務を効率化するためにマネーフォワードシリーズを中心に導入し、アナログ対応からの脱却をサポートします。これにより、会計や給与計算など経理全般に関わる業務のDX化を推進するものとしています。

また、顧問先が自社で処理を行う際のサポート窓口を提供し、会社全体のシステムや複数のサービスを組み合わせたサポートを強みとしています。さらに、経理業務の代行サービスも含まれており、システムを導入した後に顧問先が希望する場合は、引き続き経理業務の代行を依頼することができます。

このサービスに関してレビュアーからは、特に料金設定が安すぎるのではないかという意見が多く聞かれました。一部のレビュアーからは、本サービスの事業を別会社として切り出して成立するように見直し、しっかりとした付加価値を生むための料金設定を考える必要があるのではないかとの指摘がありました。