税務主体からバックオフィスデジタル化の総合支援へ!マネーフォワード導入で業務フローとサービス体系を改革した事例 ITツール事例勉強会レポート

2024年7月26日に開催された「ITツール事例勉強会」。ITツールベンダーや実際にツール導入を行った事務所様の最新事例をトークセッション形式で深堀して共有する勉強会ですが、今回はクラウド会計ソフト「マネーフォワード」の導入事例を取り扱いました。株式会社マネーフォワードの森田隆氏がゲストスピーカーとして参加し、その詳細を伺いました。

事例として紹介された事務所の概要

今回の勉強会で紹介されたのは、1960年に開業した歴史あるA会計事務所です。職員数は30名程度で、現在は3代目の税理士が代表を務めています。この事務所は、もともと税務顧問の件数が300件ほどありましたが、マネーフォワードの導入後には400件に増加しました。事務所は、マネーフォワードの導入を通じて、顧問先のバックオフィスのデジタル化に注力し、従来の税務や会計サービスからビジネスモデルを転換することを目指しました。その結果、担当者の役割や業務フローも大きく変更され、生産性が向上しました。

導入の背景と目的

この事務所が顧問先のバックオフィスデジタル化の支援に注力しようとした理由は二つあります。まず、3代目の税理士が経営分析やコンサルティング事業に従事していた経験があり、月次の早期化を強く求めていたことが挙げられます。月次の早期化を実現するためには、顧問先からの資料が迅速かつ正確に提供されることが重要であり、そのためには顧問先自体のデジタル化が不可欠でした。

第二の理由として、税務や会計だけに依存していると事務所の将来が不安定になるという懸念がありました。顧問先のバックオフィスのデジタル化を支援することで、顧問先の業務効率を高め、事務所としても新たなサービスを提供できるようになり、結果として他の会計事務所との差別化を図ることができると考えました。

業務体制の変化

勉強会では、マネーフォワードの導入による業務体制の変化についても詳しく説明されました。導入前は、担当者とそれをサポートするパンチャーという、簡素な分業体制がとられていました。担当者は顧客と直接やり取りし、パンチャーがその指示に従ってデータ入力などの作業を行うという上下関係に基づいた体制でした。

導入後、この体制は大きく変わり、役割が三つに分かれました。顧客と直接接触する担当者、データ入力を担当する製造部門、そして業務設計や新規契約時のツールの初期設定を担当する担当者の三つの役割に分かれました。この分業体制により、それぞれの部門が独立し、対等に意見を出し合えるようになりました。例えば、データ入力担当者が顧客担当者に対して、資料の受け取り方法に問題がある場合は改善を依頼するなど、部署間で外注している感覚に変わったそうです。

ツール担当者の育成

この事務所ではツール担当者として育成するために、新卒数年目の若手社員を対象として教育を行いました。ツール担当者には、税務の深い知識は求められませんが、会計や経理業務の基礎知識はある程度持っている人物が適しているためです。

育成方法としては、マネーフォワードの研修コンテンツや検定を活用し、動画研修やアウトプットの確認を通じて基礎知識を身につけさせました。また、実際の顧問先での提案にマネーフォワードの担当者に同席してもらうなど、現場での経験を積ませることも重視しました。各サービスの具体的な実務上の使い方についてのレクチャーや相談を受けることで、実践的なスキルを養いました。

まとめ

今回のITツール事例勉強会では、この他にも「改革された業務フロー」や「サービス・料金体系の構築方法」についても紹介されました。この事例を通じて、ITツールを導入するだけではなく、事務所が明確なビジョンを持って変革を行っていくことが、いかに重要かをご理解いただけたのではないでしょうか。

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