ChatGPTでナレッジマネジメント!L-Chatの導入事例と活用のコツ ITツール事例勉強会レポート

5月17日に開催されたITツール事例勉強会。こちらは、昨年「ケースメソッド」として開催されていた勉強会をリニューアルしたもので、具体的な事例を通じて、参加者がより深い知識を身につけることを目的としています 。

第1回は「L-Chatの導入事例と活用のコツ」というテーマで、株式会社iDOORが提供する生成AIツール「L-Chat」を用いた最新の導入事例と、その活用のコツが紹介されました。このツールは、現在話題のChatGPTを利用したもので、ユーザー独自のデータを学習させることで、オリジナルのチャットAIを構築することができます。
ゲストには株式会社iDOORの代表取締役CEOである岡田湧真氏をお招きし、L-Chatの特徴や導入事例、ツールの実用性や利点を解説していただきました。

事例事務所でのL-Chatの導入効果

今回紹介されたL-Chatを導入した事務所は、職員数が50名程度の比較的規模が大きい会計事務所です。ベテランスタッフと若手スタッフの間で、業務知識や顧客対応の質にばらつきがあり、これにより、顧客からの同じ質問に対して異なるスタッフがそれぞれに対応するという二重対応も頻繁に発生していました。
このような問題を解決するために、顧客対応の統一や社内ルールの一貫性を保つ、ナレッジの集約と共有が求められていました。

L-Chatの導入後はナレッジの共有が進み、ベテランスタッフと若手スタッフの間に存在する知識の差も解消されていったそうです。また、社内ルールやマニュアルへのアクセスが容易になり、業務効率が大幅に改善されただけでなく、顧客からの質問に対して迅速かつ正確に回答できるようになり、顧客満足度も向上したそうです。

データの学習と信頼性の担保

L-Chatを効果的に運用するためには、まず学習させるデータを準備する必要があります。具体的には、過去の質問と回答の集約や、社内ルール、マニュアルなどの情報を整理する必要があります。この作業は一見大変に思えるかもしれませんが、実際にはCSVファイルやPDFファイルをアップロードすることで効率的に学習させることが可能とのことでした。

学習させるデータについても、ユーザーが行った質問の履歴が残るため、頻出する質問や重要な質問をピックアップすることで、効率的に必要とされているデータを見つけることも可能なようです。

また、生成AIで気になるポイントである「誤った回答をしてしまう」という事に対しても、それを防ぐための機能について解説いただきました。
L-Chatはまず学習させたデータベースから回答を生成しようとしますが、学習データに該当する情報がない場合は、一般的なチャットGPTの知識から回答を生成します。この場合、回答の一部に「学習データにはないが一般的にはこう言われている」といった文言が含まれるとのことで、回答の信頼性についてユーザーが判断しやすくなるそうです。

導入と運用の取り組み

ChatGPTのような生成AIは登場からの時間も短く、まだまだ業務上で運用実績も少ないのが現状です。しかしながら、L-Chatの導入にあたっては、iDOOR社の手厚いサポートもあり、さまざまなノウハウも蓄積されてきているようです。

例えば、セキュリティに関しては、生成AI運用におけるガイドラインの作成等のサポートもおこなわれているそうです。くわえて、導入時には生成AIに関する研修も実施しているそうで、職員のリテラシーを上げるための取り組みも行われているとのことでした。
この他、学習するデータを最適な状態に保つ、管理者の設置とその役割や、活用支援会議の実施の様子なども解説していただきました。

まとめ

今回取り上げた事例は、生成AIツールの可能性を感じさせられる事例でした。業務上での利用ノウハウはまだまだ少ない状況ですが、このようなプロダクトの登場で、ナレッジマネジメントにとどまらず、今後も多くの分野で活用が広がっていくものと思います。

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