ケースメソッド: デジタライゼーション – 経理不在の工事業での利益管理とキャッシュフロー管理 –
ケースメソッドとは..
事例をもとに参加者が当該案件を疑似体験することによって、支援スキルの向上を目指していただく “実践型” の勉強会です。
【デジタライゼーション】のテーマでは、企業のIT活用による業務プロセス改革や生産性向上、マーケティングなどの支援など、実際の事例をもとにディスカッションを行います。
本セミナーレポートではケースメソッドの様子を抜粋しご紹介いたします。
2023年 7 月 21 日 (金) 16:30 ~ 17:15 開催
ケースメソッド (デジタライゼーション)
テーマ:経理不在の工事業での利益管理とキャッシュフロー管理
今回は freee 株式会社様より事例を提供いただき、案件ごとの利益把握や融資申請時に必要なキャッシュフロー状況の説明をスムーズに行うための手法などについて、「経理不在の工事業での利益管理とキャッシュフロー管理」 というテーマで実施いたしました。
この事例の企業は、コロナ禍の影響による案件減少から資金繰りに不安を抱えていました。そんな折、地銀へ融資申し入れを行ったところ、キャッシュフローについてうまく説明ができず交渉は難航。また、生産性向上を目指すも工事台帳など作成する余裕もなく、作業班ごとの生産性や案件別利益は把握できず、改善策を立てることもできずにいたようです。
そこで、この企業を顧問先に持つ会計事務所のコンサルタントとして、どのようなアプローチを実施していくのか考えていきました。
事例企業は、建築現場の足場工事をおもな事業としており、社長を含む5名と外部委託者で運営されていました。経理の専任者はおらず社長自ら対応をされており、会計知識もPCスキルも心許ない状況であったそうです。案件の管理はエクセルでかろうじて表を作成していたようですが、労務費・外注費・仕入の紐づけはできておらず、利益管理までは難しい状態にありました。
参加者の皆さまと検討を進めていったところ、対応策として考えられるとすれば、会計事務所側から管理ができる表を作成し提供したものへデータを入力いただくことや、所内にあるコンサルティングチームを頼って対応をしてもらうだろう、という意見が挙がりました。
ほかにも、クラウド上で請求書管理が可能なサービスの導入を促すことや、Power Query (パワークエリ) を用いれば、データの加工や自動化がうまくできないだろうか、とのお話も出ました。
ただし、IT投資予算が年間5~10万円程度であったこともあり、コストを掛けられないことや対応される社長のPCスキルも考慮すると、できうることといえばなかなかに限られそうでした。ここからは、実際にどのように対応されたかについて伺っていきました。
まず、融資の交渉時に社長自ら定量で説明できるよう、必要な数字が “データとして取れていること” の重要性をご理解いただき、会計ソフト連動の可能な売上請求書発行サービスの導入を提案されたようです。
今回の事例では freee 様のサービスを導入され、”部門タグ” や ”メモタグ” の機能をフル活用したことが成功ポイントだったようです。現場名ごとのタグをつけたり、内容をタグとして反映させていったことで、分類ごとの数字を確認できるようになっていったのだそうです。
freee では、つけたタグごとのグラフやレポートもワンクリックで表示でき、案件別利益も手軽に表示が可能となり、社長は数字を把握しながら自らキャッシュフローの説明もできるようになっていったともお話しいただきました。
顧問先にとって大きな負担なく期待する改善が実現できただけでなく、会計事務所にとってもまた、銀行やクレジットカードなどさまざまなサービスとも連携ができたことで、月次の記帳作業の迅速化も進んだようです。このことは、新たな付加価値提供へも繋がる一歩となるかもしれません。
次回ケースメソッドは、2023年10月に開催を予定しています。ぜひみなさまのご参加お待ちしております。