DXレポート2を読み解く 第3回
「DXレポート2」は、2018年に経産省が発表した「DXレポート」に対し、その後の企業の動向及びコロナ禍の影響等をふまえて、2020年12月にあらためて報告された最新のレポート(中間報告)となっています。
本コラムでは、この「DXレポート2」の内容をパートに分けて解説していきます。
DX推進に向けた中期的対応
自社システムのIT投資について、協調領域と競争領域に分けた上で、競争領域への投資を強化していくことを指摘しています。協調領域については、SaaSやパッケージシステムをノンカスタマイズで利用することで、投資余力を作るよう求めています。
その延長線として、協調領域では、業界内の他社とともに共通プラットフォームを構築することで、さらなる投資効果の向上ができ、デジタル社会の重要な基盤となるとしています。
競争領域においては、社会や顧客の課題を発見して解決するための「SoE(System of Engagement)」の領域に注目しています。このようなシステムは、変化の少ない「記録のためのシステム:SoR(System of Record)」とは異なり、大規模な開発委託をすることが困難とされています。なぜなら「迅速に仮説としての製品やサービスを市場に提示して、データドリブンで仮説検証したうえで改善へとつなげる」というサイクルを短期間に繰り返す現代的な経営手法に、従来のソフトウェア開発の方法がフィットしないためです。
この為、ソフトウェア開発はアジャイルな開発体制を社内に構築し、市場変化を捉えながら、小規模開発を繰り返すべきとしています。
人事制度については、個人の仕事範囲や責任、評価基準明確にするジョブ型雇用への移行を推奨しています。人材については、DXを企画しリーダーシップを持って推進する人材を自社で確保すべきとし、技術者については常に新しい技術を学び続けられるような仕組み作りが必要としています。