会計事務所の導入システムの変遷を振り返る ~ プロローグ ~

このたび、中小企業DX推進研究会事務局では、セブンセンスグループがこれまで導入・活用してきたシステムやITツールを、会社の変遷や背景とともに振り返るという企画を立ち上げました。

“会社の変遷を追いかけ年表の制作をする” という目標を掲げてはみたものの、想像以上に奥が深く、その当時を知る職員からのヒアリングや拠点展開、職員数など社内事情も併せて見つめる作業が必要となりました。
今もまだ完成には至っておりませんが、このコラムでは、本企画を通して見えたシステムやITツールの変遷理由や導入時の裏話などをお届けしたいと思います。

今回の書記
2018年4月セブンセンスグループ入社
中小企業DX推進研究会 事務局員

ツール導入の目的は “効率化” だけではない!?

これまでの研究会座談会やコラムでは、 「資料回収の最適な方法」 や 「業務管理システムはどうしているか?」 などのテーマについて、会員の皆さまと意見を交わしてきました。そこで見えてきたのは、事務所それぞれのカラーがあるということです。所長のビジョン、規模や予算、さらには顧問先の状況や職員の対応によって、使用するシステムも運用方法も大きく異なることが明らかとなりました。

DXを推進するなかで言えるのは、

「同じツールをまったく同じように運用しているとは限らない」

ということです。
たとえば、業務管理システムひとつをとっても、ある事務所ではクライアントごとの進捗を細かく管理するツールを重視し、別の事務所では職員間のタスク管理に重点を置いたシステムを導入しているなど、その運用形態は多岐にわたります。

ほかにも、クライアントに合わせて複数のツールを使い分けている事務所もあれば、事務所側で使用するツールや運用方法を統一しているという事務所もあるでしょう。これらは、いずれかが正しいなどということではありません。ツールを導入することにおいては単に 「ツールを使うこと=効率化」 や 「汎用性の高いシステムだから」 ということではなく、事務所が抱えている課題や目的をまずは明確にし、円滑な業務フローの構築を優先することが肝要です。また、それに応じた最適なシステムを選択するということがセブンセンスグループの考え方にはあります。変遷を振り返ると、この考え方がより鮮明に感じられました。

徹底検証で判断、ツール導入の最適解

研究会が実施してきた勉強会や面談のなかでは、●●にはどのツールを使用したらいいでしょうか?といったご質問をいただくこともありました。その場合にお答えすることの一つが、まずは少人数で体験版やサンプルを使い倒し、レビューしてみましょう、ということです。先にも挙げたとおりツール自体をお薦めしてみたとしても、使用環境や運用方法が異なれば同じ効果が得られるとは限らないのです。

セブンセンスグループでも、全社への導入前には自社の運用に乗せられるのか徹底的に使いこなしてみるところから始めています。体験版で決着できなければ、少数のアカウントを実導入しさらに検討することもあります。ここまでお金をかけたのだからなんとかうまく機能を駆使し使い続ける、というものもあれば、潔く撤退するという判断も大切なポイントとしています。

目標実現のためのツール活用

折に触れてさまざまなシステムやITツールを導入・活用してきましたが、その背景には常に変化する業務環境と、それに伴う課題の解決がありました。

たとえば DocuWorks 導入の背景には、多拠点展開を当時から目指していたところにありました。
紙ベースでの管理からデジタル化したことで、原本がなくてもどの拠点でも同じ作業ができる仕組みを構築していったのです。ほかにも同様に取り扱える PDF や画像データでの運用も検討したようですが、DocuWorks のほうがデータ容量が少ない点や、紙での作業に近い状態で扱えることなどから2007年には利用を開始していました。細かなルールや使用方法は実際に使いながら変更を加え育ててきたものの、大枠での運用方法は、その前年から実施していた導入テスト時には固まっていたということもわかりました。

セブンセンスグループのDocuWorks導入には多拠点展開のビジョンがありました

今回のまとめ

いままさに、新しいツールの選定に悩んでいるというかたもいらっしゃるかもしれません。そんなときには、今回のコラムを参考にしていただけたらと思います。また、皆さまの事務所でもぜひ、システムやITツールの変遷をたどってみてはいかがでしょうか。

次回もひきつづき、システムとITツールの変遷を振り返る私どもの取り組みをお楽しみただきたいと思います。