DXレポート2を読み解く 第2回

 

DXレポート2を読み解く

DXレポート2」は、2018年に経産省が発表した「DXレポート」に対し、その後の企業の動向及びコロナ禍の影響等をふまえて、2020年12月にあらためて報告された最新のレポート(中間報告)となっています。
本コラムでは、この「DXレポート2」の内容をパートに分けて解説していきます。

4章 企業の経営・戦略の変革の方向性

本章では、企業がDXに向けて取るべきアクションを「直ちに取り組むべき」「短期的」「中長期的」という3つの時間軸で解説されています。

「コロナ禍を契機に企業が直ちに取り組むべきアクション」

「直ちに取り組むべき」とされているのが、「市販製品・サービスの活用による迅速な対応を検討」であり、4つのツールのカテゴリを上げています。
(1)業務環境のオンライン化:テレワークシステムやオンライン会議システム
(2)業務プロセスのデジタル化:OCR、SFA、クラウドストレージ、各種SaaS、RPA 等、電子化や業務支援のツール
(3)従業員の安全・健康管理のデジタル化:活動量計、人流の可視化、パルス調査ツール
(4)顧客接点のデジタル化:EC、チャットボット
ただし、これらのツールを導入したからといってDXが達成されるわけではなく、ここから短期的、中長期的取り組みに発展させる必要があるとされています。

「DX 推進に向けた短期的対応」

短期的対応に必要とされているのが、「DX 推進体制の整備」「DX 戦略の策定」です。
「DX 推進体制の整備」では、「経営層」「事業部門」「IT部門」の協働体制の重要性が示されています。特に、「デジタルを活用した新ビジネス」という視点はIT部門からもアイディアを出すことが必要で、IT部門が単なる業務システムの管理の役割にとどまるべきではないとされています。
また、「CIO/CDXO」の設置についても言及されており、デジタル戦略について経営トップと対等に対話できるリーダーが必要とされています。これは、業務プロセスの廃止やITシステムの廃棄といった部門横断的プロセス改革の取り組みに、リーダーシップをとる人材が不可欠とされている為です。

これを踏まえて、「DX戦略の策定」では「業務プロセスの再設計」が必要とされています。デジタルを前提とし、かつ顧客起点で見直しを行うことにより大幅な生産性向上や新たな価値創造が期待できます。ただし、これを1度きりの取り組みとすることなく、事業環境の変化に合わせて恒常的に見直すことが止められています。
また、DX推進指標を定め、定期的な状況の確認をすることが望ましいとされています。